エネルギー素材事業

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト型ハロゲン化物半導体を光吸収層として用いた太陽電池の一種です。ペロブスカイト型ハロゲン化物は、一般式ABX₃で表される結晶構造を持ち、Aサイトには有機カチオンまたは無機カチオン、Bサイトには金属カチオン、Xサイトにはハロゲンアニオンが位置します。この構造の柔軟性により、バンドギャップやキャリア寿命を調整することが容易であり、高効率な光電変換を実現しています。

ペロブスカイト太陽電池の優位性
ペロブスカイト太陽電池の動作原理

ペロブスカイト太陽電池は、p-n接合型太陽電池の原理に基づいて動作します。太陽光がペロブスカイト層に照射されると、電子と正孔が生成されます。生成された電子と正孔はそれぞれ、電子輸送層と正孔輸送層に移動し、外部回路を流れることで電流が生成されます。

ペロブスカイトの結晶構造
ペロブスカイト構造は、一般式ABX3で表される、立方晶系の結晶構造の一種である。Aサイトには大きな陽イオン、Bサイトには小さな陽イオン、Xサイトには陰イオンがそれぞれ配置され、理想的なペロブスカイト構造では、Aサイトのイオンは立方体の角、Bサイトのイオンは立方体の中心、Xサイトのイオンは立方体の面の中心に位置する。この構造の柔軟性により、A, B, Xサイトに様々な元素を置換することが可能であり、組成や構造の多様性に富む。多くのペロブスカイト化合物は、温度や圧力などの外部条件の変化により、構造が歪む。この構造の歪みが、ペロブスカイト化合物の物性、特に電気的・磁気的性質に大きな影響を与える。ペロブスカイト化合物は、その多様な物性から、太陽電池、触媒、磁性体など、幅広い分野で注目されている。